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岡野 英伸 先生(博士(商学))
大学院の後期課程から観光を研究。専攻は交通論。本学では観光交通論、集客施設論、観光事業経営論を担当。交通論では、特に観光・休日交通に関心を持ち、観光論では観光施設や観光施設以外の施設・場所にも関心を持って研究を行っている。
主な著書・論文 『「観光学」論考――都市型観光関連施設の需要構造について』((株)アートデイズ/(有)MESSA)、「観光交通の経営における諸問題について」(『交通学研究/2003年研究年報』,日本交通学会)、「観光関連施設における需要の季節性について」(『第4回観光に関する学術研究論文入選論文集』、(財)アジア太平洋観光交流センター) 他
 「集客施設」と聞いたら、皆さんはどのような施設を思い浮かべるでしょうか。多少は観光の知識を持っている人ならば、いわゆる「観光施設」を想像するかもしれません。また、あまり観光の知識がない人では、「客を集めるための仕掛けがある施設」と考えるかも知れません。

 本学で開講している集客施設論では、テーマパークに代表されるような観光施設だけではなく、博物館・水族館・美術館などの文化教育施設、あるいは宿泊目的以外で利用される場合のホテル、買い物目的以外で訪れる場合の百貨店、鉄道利用以外の目的で訪れる場合の鉄道駅、大規模ショッピングモールなど、実際に多くの人々が集まっている施設・場所を分析対象としています。
 例えば、米国ワシントンDCにある「スミソニアン博物館群」は、16の分野の博物館で構成され、年間入場者数が2483万人(1992年)にも達する施設です(注1)。また「大英博物館(ロンドン)」には、年間620万人(1996年)もの人々が訪れています(注2)
 さらに私たちの周辺にある施設を見てみると、「須磨海浜水族園(神戸市)」には、開園後1年間で300万人の入場者があり、「海遊館(大阪市)」では、開館後1年間で500万人もの入場者がありました(注3)。これらの施設は、これまでの分類上では文化教育施設であり、必ずしも観光客のみを対象として作られた観光施設ではありませんが、入場者の多くが観光目的で訪れている施設であることは確かでしょう。
 また、大都市のシティホテルには、毎日数万人の人々が食事・買い物・友人との待ち合わせなど、宿泊以外の目的で訪れているとも言われています。最近の事例では、「六本木ヒルズ」や「なんばパークス」など、本来は経済活動や生活空間とされる場所に、多くの観光客が訪れています。
 これらを、多くの人々が集まっている施設・場所ということで、広い意味での「集客施設」と捉え、「何故人が集まっているのか」、「どのような仕掛けがあるのか」、「人々は何に魅力を感じ、惹きつけられているのか」を探り、それらに共通の理論や戦略を明らかにしようとしています。

 このように現代社会では、いわゆる観光施設以外の施設や場所に、非常に多くの人々が観光目的で訪れている実態があり、私たちが研究している観光分野においても、決して見過ごすことができない大きな現象であると考えられます。また、これらの観光客の移動を支える交通も、今後の重要な研究課題であると思われます。
 したがって、これから観光学を学んでいこうとする皆さんは、今までの既存の枠組みや概念にとらわれず、広い視野・新しい考えを持って、現代社会における大きな現象として「観光」というものを捉えていって下さい。そのことによって、「人は何故観光するのか」と言った、観光に関する本質的な命題に接近できるのではないでしょうか。

注1) 伊藤正視[1994]、『人が集まるテーマパークの秘密』、日本経済新聞社、132頁
注2) 高橋信裕・塚原正彦・松永久[1999]、「新しい富をうみだすミュージアム・マネジメント〜英国の経済再生とミュージアムの役割〜」、『日本ミュージアムマネジメント学会年報(1996年度〜1998年度)』、56−73頁
注3) 岡野英伸[2004]、『「観光学」論考」』、(株)アートデイズ/(有)MESSA、9頁
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