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槻本 邦夫 教授
教学部長 、「商業経営論」「マーケティング論」「広告論」担当
数多くの企業の経営を指導してきた経験から豊富な事例を紹介する。「商業経営論」「マーケティング論」「広告論」を担当する。
>> 「観光地商業」の誕生と再生(1) <信州長野「善光寺」>
>> 「観光地商業」の誕生と再生(2) <善光寺・仲見世>
「観光地商業」の誕生と再生(3) <善光寺・表参道商店街の再生・街づくり> 
2005.3.10

 善光寺本堂を背に長野駅までは約2km。境内にある7,777枚の敷石を踏みながら「仲見世」を過ぎ「仁王門」をくぐると境内から表参道に出る。仁王門は間口13m、高さ14m(4階建ての家くらい)で、「阿蔵」(あぞう:口を開いている仁王さん)と「吽像」(うんぞう:口を閉じている仁王さん)が対になっている。普通は正面右側が「阿像」で左が「吽像」だが、善光寺では逆に起立されている。「なぜか?」観光学への興味や研究はここから始まる。 (※1)

 仁王さんに別れを告げ、表参道の商店街を長野駅に向かうが、最初は大門町のレトロな町並みが続く。 まず、目に付くのが本稿(1)の写真で紹介した七味唐辛子で全国的に有名な「八幡屋礒五郎商店」である。この店は、注文に応じ一味でも、三味でも好きなブレンドに応じてくれる。この店の隣に「三丁石」と書かれた自然石が置かれている。長野駅前通りは「十八丁石」で1丁(109m)毎にこの石は置かれている。善光寺表参道商店街は、大門、中央通商店街と続く。表参道のこれらの商店街も、以前は各店舗が古くなり、寂れた商店街という印象だったが、商店街の再生に向かって、「街づくり協議会」が結成され、歩道にあった電柱などを地下に埋設し、すべて石畳にした。また、写真(1)にあるように、建替えや改修を図る店舗は、全ていわゆるレトロ調に統一するなど、「町並み保存」に力を入れている。また、数代にわたり続いている老舗店舗が、その店の業種に関連する道具類や骨董品、美術品などを展示する「ミニ博物館」をオープンさせた。現在12館あり、全て入場無料である。例えば「事務用品博物館」「ガラス博物館」「消防博物館」などユニークな博物館が多い。観光地に商業が生まれ、また時代に即して再生し、観光客に安らぎと楽しみを与える、「観光地商業」は観光地と両輪となって、観光地を魅力的なものにしている。

 写真(3)は「事務用品博物館」に展示されている「昭和初期の金銭登録機」(レジ/キャッシュレジスター)。現在、スーパーなどで利用されているPOSレジは、品目別管理になっているが、この時代の機械式レジの多くは、8桁の部門別に商品を管理していた。すなわち、何千種類もある商品を8つに分類し集計したのだ。1つ1つの商品のその日の売上高はわからないが、どの部門の商品が売れているかは知ることができ、近代的な商店経営へ向っての一歩前進であった。(終)
※1(編集部注): それぞれの仁王様を、阿形(あぎょう)吽形(うんぎょう)と呼び、「阿吽(あうん)の呼吸」の語源となっています。善光寺の仁王像がなぜ逆に立っているのか?ヒントは「冬至」「阿吽の順番」です。ぜひ調べてみてください。
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