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森 信之 助教授
大学院で経済地理学を専攻。近年は、エコツーリズムと地域振興との関わり、ツーリズムが地域振興に及ぼす効果、ツーリズムや地域を対象とする計画(planning)、ツーリズム推進と地域的条件との関係に関する研究を行っている。
●論文 「エコツーリズムと地域振興」(大阪明浄大学紀要第1号)、「ツーリズム推進の特質とその変化‐地域的視点に基づく考察‐」(観光研究論集第2号)、「ツーリズムと計画システム‐空間的側面を中心に‐」(大阪明浄大学紀要第4号)など |
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ここ数年、熊野を訪れています。熊野といえば、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されることとなり、熊野古道にその名が出てきますので、一躍知名度が高まったのではないでしょうか。
熊野は、紀伊半島の南部に広がる地域で、世界遺産への登録もあり、ツーリズムへの関心が高まっていますが、地域全体が豊かで魅力ある自然環境をもっていることを見逃すわけにはいきません。世界遺産についても、世界文化遺産としての登録ではありますが、自然環境と融合することによって価値をもつ遺産であることを考えれば、この地域の自然環境がいかに貴重であるかがわかります。
自然環境保護に関しては、ナショナル・トラスト運動で知られる田辺市天神崎があります。ナショナル・トラスト運動は、地域住民が募金などを行い、土地を買い取るなどの方法で自然環境や歴史的環境を守ろうとする運動です。天神崎は、丘陵部と岩礁からなり、多くの人々にとってかけがえのない自然環境が残っています。しかし、1970年代の別荘地開発の動きに対し、田辺南部海岸県立自然公園の一部ではあるものの、規制が緩く、不許可にできなかった経緯があります。そのため、地域住民の自発的な活動が原動力となってナショナル・トラスト運動が進められてきましたが、他方、天神崎は、こうした運動が背景ともなって、自然観察教室が続けられ、また、ツーリストが訪れる場所となっています。
これらは、自然環境を保護することが、ツーリズムの価値や魅力を高めるために不可欠であることを物語っています。ツーリズムを推進する、あるいは、そのための開発を行う際には、環境保全と一体となっていなければならないことはいうまでもありませんが、自然環境を保護することに直接貢献するツーリズムの意義に着目したいと思います。
エコツーリズムは、自然環境を大切にするツーリズムとして、「原生自然環境や希少な自然環境を訪れ、体験する」、「自然とふれあい、自然に親しむ」、「自然を学び、理解する」などの多様な内容を含んでいますが、もうひとつ、「自然環境保護に直接貢献する」を加えることによってより特徴が浮かび上がってきます。そして、エコツーリズムがもつこうした多様な内容を、地域がもつ条件に適合するように組み合わせ、効果を高めていくことが重要であり、そのためには、どのような制度や体制、方法が必要なのか、誰がどのように推進していくのかといったことを考えていく必要があります。
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