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第8回 2004.2.1
“風呂”の語源となったイギリスの温泉町“バース”(“Bath”)
─ 2000年の歴史に彩られた瀟洒なリゾート ─
 “風呂”という名の町がイギリスにあるのをご存じですか?
 ロンドンの西200キロメートルほどのところに“バース(Bath)”という町があります。ここは古くから温泉地として知られ、高級リゾートとしての華やかな歴史をもっています。摂氏46.5度の温泉が、現在でも毎日100万リットル以上湧き出ているそうで、これはイギリス唯一です。

 この地では、紀元前から既に温泉のあることが知られていました。もともと、そのあたりにはケルト人やブリトン人と呼ばれる人々が住んでおり、温泉が沸き出すことから神聖な場所と考えられていたようですが、温泉を最初に市民生活に取り入れたのはその後にやって来たローマ人です。
 シーザーに率いられたローマ軍がドーバー海峡を越えてイギリスに入ったのが紀元前55年、それからほぼ1世紀後、ブリテン島の南半分はローマ帝国の領土となります。ローマ人は帝国拡大の途上、本拠地ローマと植民都市を結ぶ道路建設を行い、入植者のための娯楽施設を建設しています。
 バースで温泉と出会ったローマ人は、得意の建築技術で一大温泉娯楽施設をつくりあげました。熱い湯の浴場、適温の浴場、冷水の浴場、蒸し風呂(サウナ)、マッサージ室、脱衣室、運動のためのジム、必要な場所には床下暖房も整えた、まさに“温泉レジャーランド”です。“グレート・バス”と呼ばれる大温浴場は、長さ25メートル、幅16メートルもあります。

 帝国の衰退と共に、ローマの浴場はメンテナンスされることもなく放置されます。その上に、中世以来数度にわたり新たな施設が増設されていきます。18世紀には温泉の効能を期待する王族や貴族など上流階級の人々が集まるようになり、バースは優雅な社交場として一躍脚光を浴びるようになります。現在の街並みは、この頃に完成したものです。

 ところで、19世紀後半、新たなホテルの建設の際に、忘れ去られていたローマ時代の浴場遺跡が発見されました。発掘によって、中世の時代の増築部分が取り除かれることとなり、2000年前の温泉施設が復元され“グレート・バス”は再び温泉で満たされました。今日、ローマ時代の浴場跡を各国語の音声ガイドと共に回遊することが可能です。

 高級リゾートとして栄えた歴史のなごりか、この街にはゆったりと落ち着いた時が流れているようです。静かに蛇行するエイボン川、15世紀に再建されたバース教会(Abbey)、18世紀に整備された街並みは、バースの重要な観光資源となっています。
 教会横のツーリストインフォメーションには、日本語の案内書もそろっています。近隣には由緒ある大聖堂で知られるソールズベリーや、ストーンヘンジ巨石遺跡を始めとする先史時代からの遺産など、見所はつきません。

(写真 ツーリスト・インフォメーション・センター発行リーフレットより)
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