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第7回 2004.1.10
“橋”の街“ブルージュ”(“Bruges(仏)/Brugge(蘭)”)
─ 中世のたたずまいを運河に映す北のベニス ─ |
“橋”という名の“ブルージュ”は、人口およそ12万人、ベルギー北部の西フランダース州の州都であり、今は静かな地方都市です。が、旧市街の中心のマルクト広場に立つと、この街がかつて大変繁栄した都市であることがわかります。
ブルージュは、北海の入江に面する港町として発展し、11世紀にはハンザ同盟都市の一つとなります。その後は同盟の主要都市として商取引で栄え、金融市場としてもヨーロッパ屈指の重要性をもつに至ります。マルクト広場を取り囲んでいる階段切り妻の屋根を持つ建物の多くは、当時のギルドハウスです。繁栄のすべては港と水路のたまもの、現在もこの街を特徴づけている運河は、その歴史に大いに貢献し、15世紀には史上最高の繁栄の時を迎えました。しかし、その繁栄は早々と終焉を迎えます。15世紀末に、入江や運河が土砂や堆積物で埋まり、港町としての機能が麻痺、北海が遠くなってしまったことがその原因です。
ただ、経済的発展の停止は、この街の新たな歴史の始まりともなりました。経済的重要性が薄れることによって人々の関心の外におかれ、重要性の低さゆえに後の時代に大変革を迎えることもなく放置されることとなり、結果として、中世の町並みが温存されることになりました。今もヨーロッパのあちらこちらに中世のたたずまいを残す都市が点在しますが、そのいくつかはブルージュと同じ様な歴史を持っています。
さて、この街の楽しみ方は様々です。旧市街は1.5キロメートル四方ほどにおさまり、歴史を刻む石畳や狭い路地はそぞろ歩きに最適です。表通りにはチョコレートや伝統工芸のボビンレースなどを扱う土産物屋が並び、一筋奥には市民の居住空間が広がります。それぞれ好みのレースで飾られた民家の窓辺は鑑賞モノです。
運河巡りの遊覧船、御者の案内付き観光馬車、静けさが支配するベギン会修道院の庭や池。また、ヤン・ヴァン・アイク、ハンス・メムリンクといったフランドルゆかりの画家達の芸術作品は、ブルージュがかつて豊かであった時代のコレクションであり世界に誇る秘宝です。
ベギン会修道院とマルクト広場の鐘楼は、この地方の他の鐘楼や修道院と共に、近年、世界遺産に指定され、旧市街そのものも少し遅れて世界遺産に登録されました。
ところで、ベルギーは食通の国として知られています。この国では本場フランスに負けない“フレンチ・キュイジーヌ”を楽しむことが出来ます。北海に面することからシーフードも豊富で、バケツのような大鍋で出てくるムール貝のワイン蒸しは日本人の口に合い、十分すぎる一食となります。ブドウ栽培の北限を越えているためワインは産出されませんが、国民一人当たりのビールの生産量は世界トップであり、数百種類の地ビールは色も味もボトルの形状も様々です。また、ベルギーといえば、お菓子やチョコレートも有名。日本で見かける高級チョコレートのほとんどがベルギー産、と言っても良いくらいです。
最後に、言語について。ベルギーでは、北部ゲルマン圏のフランドル地方ではオランダ語、南部ラテン圏のワロン地方ではフランス語が話されています。今回取り上げたブルージュはオランダ語圏にあり、本来は“ブルッヘ”とするのが正確なのですが、本コラムでは、より日本人に馴染みのあるフランス語式の“ブルージュ”の名称を使用しました。本文タイトルの都市名のアルファベット表記も、オランダ語表記がフランス語表記に先立つのが本来です
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(写真 ブルージュ観光局資料より) |
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