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第2回 2003.8.1
ロマネスク芸術の宝庫“アンドラ公国”(“EL PRINCIPAT D'ANDORRA”)
─ ピレネー山脈に抱かれた10歳の小国 ─
 イベリア半島の付け根、フランスとスペインの国境となっているのがピレネー山脈です。その山の中に、今年10歳の誕生日を迎えた小さな独立国家があることをご存じでしょうか。1000年以上の歴史を持つ古い国ではありますが、新憲法のもとに独立してちょうど10年。その名は“アンドラ公国”、誕生日は1993年3月14日です。

 この国の人口は7万人、国土面積468平方キロメートル(金沢市とほぼ同じ)。前回本コラムで取り上げたスイス連邦の100分の1、ヨーロッパでは、バチカン市国、モナコ公国、サンマリノ共和国、リヒテンシュタイン公国、マルタ共和国に次ぐ小国です。首都は、“アンドラ・ラ・ベリャ(ANDORRA LA VELLA)”。公用語はカタルーニャ語ですが、これはスペイン語(カスティーリャ語)、フランス語と姉妹語です。例えば、「お早う」は、スペイン語では“BUENOS DIAS(ブエノス・ディアス)”、フランス語では“BONJOURS(ボンジュール)”、カタルーニャ語では“BON DIA(ボン・ディア)”。ですから、スペイン語とフランス語も良く通じます。
 ここは、スペインのカタルーニャ地方と共に“ロマネスク”の宝庫といわれ、国中至るところで、かわいらしい教会堂や素朴な聖母子像など、ロマネスク様式の建築や芸術に出会うことができます。ピレネーの山々に抱かれていることから自然にも恵まれ、穀物やタバコ畑など、実にのどかな風景が広がり、石造りの教会や石組みアーチの小橋などが景色に溶け込む様に点在しています。主たる産業は観光業であり、幅広いカテゴリーの宿泊施設やレストラン、国中に広がるキャンプ場、スポーツ施設も整い、スキーリゾートとしての魅力も尽きません。

 首都アンドラ・ラ・ベリャは海抜1209メートル、さぞかし静謐な保養地か、と思いきや、メインストリートには、香水、化粧品、衣料品などを扱うブランド店、家電製品、タバコや酒類などの免税売店が軒を連ね、山間部とは思えない賑わいです。日曜の夕方、アンドラからフランスに抜ける峠はフランスナンバーの車で大渋滞、隣国からの買い物客の帰宅(国?)ラッシュというわけです。メインストリートを一歩はずれた時の“のどかさ”とのギャップに、初めての方は少々驚かれるかもしれません。

 世界には小さな独立国家が多数存在します。独自の資源を武器に、凝った出入国スタンプや美しい記念切手の発行、免税措置などにより外客を誘致し、観光を通した経済発展を図っている小国家も少なくありません。アンドラ公国には未だ鉄道は敷設されておらず、入出国のルートが限定されるなど、訪問にはやや困難さが残ります。しかし、それ故に同国を訪れる日本人もまだわずか。マニアでない方にも、“小国めぐり”の旅の何番目かに、アンドラ公国をお勧めします。
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