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第1回 2003.7.1
小都“CHUR”(「スイス連邦」)のCOOLなこころみ
─ 多言語国家ならではの“仕掛け”に乗って楽しむ古都の魅力─ |
スイス東部の“クール(CHUR)”は、海抜 585メートルに位置する、人口3万人余りの静かな街です。スイスで最大の面積を占めるグラウビュンデン州の州都であり、ドイツ語圏となっていますが、フランス語、イタリア語に続く、言語人口1%といわれる4番目の国語“ロマンシュ語”はこの州で使われています。ローマ時代から交通の要衝として知られ、現在は、スイス南部を東西に横切る“氷河特急”と、南東部を縦断してイタリアに向かう“ベルニナ特急”という、両パノラマ列車の発着駅となっています。今回、記念すべき「第1回」にクールを取り上げたのは、この街が山間の小都でありながら、大変素晴らしい観光装置をもっていることをお知らせしたかったからです。
スイスはその言語環境からもわかるとおり、歴史的に常に周囲の大国からの吸引力がはたらいてきましたが、独特のシステムがそれを上回る求心力となり、連邦国家として強くまとまっています。国際機関が数多くおかれ外国人比率も高いなど、もとより国際色が豊かであり、文化、自然両面での豊富な遺産が、多くの外国人観光客を惹きつけてやまない国のひとつです。
クールもまた深い歴史と美しい景観をもつ古都であり、その見所は旧市街地に点在しています。そして、この街ではそれらのポイントが見落とされることはありません。初めてその地を訪れた人であっても、欧州の言語に堪能でなかったとしても、です。街のあちらこちらに見られる赤と緑の“足跡”が、その理由です。大人の大きさほどの足型が地面にペイントされており、それらの“足跡”は、人びとを地域の見所へといざないます。“赤足跡”と“緑足跡”は、それぞれ所要時間の異なる観光コースとなっており、番号付きの市内地図と赤、緑の色紙に印刷された日本(各国)語の案内書を持って歩けば完璧です。旅行者は、その足跡をたどり、時には離れ、そしてまた従い、自由にそして効率よく、この街の魅力を知ることになります。もっとも、旧市街地自体が限られた大きさですので、観光局で入手した地図を片手にそぞろ歩きを楽しみ、自分だけの景色を発見することもまた、小都の歩き方ではありますが。
人気のパノラマ列車の起点であることから、この州を訪れる日本人は少なくありませんが、そのほとんどはより著名なリゾート地であるサン・モリッツを利用しており、クールに立ち寄る人はまだまだ少数派です。500年も前に建てられた市庁舎や地域ゆかりの芸術家の作品を集めた美術館、地方の地理や地質、植物を展示した自然博物館、先史時代からの歴史や民俗資料が豊富な歴史博物館、ロマネスクの基礎をもつ大聖堂やバロックの司教館、街はずれの斜面に広がるぶどう畑など、趣深いクールの街を“足跡”に沿って歩いてみてはいかがでしょうか。 |
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