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第10回 2004.3.20
学生諸君! ケイタイもいい、パソコンもいいだろう。しかし、もっと旅に出よう!
(「観光立国ニッポン」造りのために)
 「先生はお金があっていいですね」。研究室に出入りする大学生から羨ましがられています。確かに、毎年、4〜5回ほど海外旅行に行き、その合間をぬって国内の旅にも何度か出掛けているからです。つい先日も、ウラジオストク&ナホトカ、いわゆる“極東ロシア”と呼ばれる地域に1人で一週間行き、厳冬のシベリア鉄道などをエンジョイしてきました。
 従来、私の海外旅行の多くは業務出張で、会議出席やビジネス・トークという内容でしたが、4年前に大学に籍を置いてからは、時には講演などの出張もありますが、大部分は自費での研究出張です。それでも以前と同様の頻度で出掛けています。海外への出張費用は勤務大学ではもちろん面倒を見てくれませんので、自己資金の使い道「プライオリティーNO.1は海外旅行」とし、なんとかやりくりしている状況です。目的の違いはありますが、こんな調子で30年以上、「海外旅行」とは縁が深く、世界の様々な国を訪ね歩いています。

 さて、前口上が長くなりましたが、今回で「観光学オピニオン・観光立国をめざして」が最終稿になりますので、将来の“観光立国・ニッポン”の担い手的存在になる大学生、特に「観光学」専攻の学生諸君に是非、一言申し上げたいと思います。題して、「学生諸君!ケイタイもいい、パソコンもいいだろう。しかし、もっと旅に出よう!」と。
 最近、大学生の間では、ケイタイ電話とパソコンが大流行。「新コミュニケーション時代」が進行しています。いつ、どこでも、様々な人にコンタクトでき、交友の輪が広がり、本当に便利になりました。しかし、通話内容を見ると、相手は限定的な友人関係への連絡が多く、日々、拡大されていくネットワークでなさそうです。その上、電話代もかなりの額になります。何人かの学生への質問を総合すると、「毎月の電話代は9,000〜10,000円」が標準的と言えましょう。中には2、3万円に達する学生もいます。
 一方、パソコンに熱中している学生も少なくありません。知りたいこと、調査したいこと、なんでも瞬時に世界中の情報に接することができる便利さがあります。ケイタイと異なり、こちらはパソコン購入時に費用がかかりますが、それ以降、金額は多くかかりません。しかし、他人と話さず一人夢中で黙々と打ち続ける、いわゆる“パソコン・オタク”になる学生も少なくありません。彼らは一般社会と隔絶し、インターネットから通じて知るバーチャルな世界に浸りすぎ、ナマの世界の感動を体験できないキライがあります。

 さて、最近、小泉首相や政府が「観光立国・日本」を目指し、このキャッチフレーズ…“住んでよし訪れてよし”の国造りに関して、講演やメル・マガで、盛んに発信しています。ところで、世界にそのような理想的な国はどこにあるでしょうか。正直言って、ピッタリ当てはまる国はないでしょう。長い歴史と独特の文化を持ったこの日本にとって、理想的な国はないと思われますが、数多くの点で模範とすべき国は少なくありません。それらの国々の良さを見つけ、今後、積極的に取り入れていくべきだと考えています。模範とすべきものを探すにはインターネットや書物だけでなく、自分の足で歩き回り自分の目で探すしかありません。飛行機で海外へ一歩足を運べば、さまざまな光景にぶつかり、「何故だろうか」を発することが多いでしょう。これらが将来の「観光立国・日本」へのヒントに、きっとなるでしょう。
 例えば、最近の海外の旅で「何故だろう」と気にかかった現象を取り上げてみます。
[海外から日本への帰国の際に]…満席の航空座席になんと多くの国々の人が乗っているのだろうか。それにしても、何故、こんなにも彼らは日本を素通りしてしまうのでしょうか。
[“ハブ空港”の一つと称されるシンガポールのチャンギ空港で]…真夜中でも、何故、このように賑やかなのだろうか。
[アセアンの小さな国・ラオスのルアン・プラバン(世界遺産都市)で]…何故、遠いヨーロッパから、若者達がこんなに大勢やってくるのだろうか。
[ローマ・テルミニ駅付近の書店で]…書棚には「日本」案内のガイドブックがわずか3冊ほど。それに比べて、「中国」案内本はイタリア語・英語版の両方で、平積みになり80冊余りとはどういうことでしょうか。

 さあ、ケイタイ電話の費用を切り詰め、そして、パソコンに相対する時間をカットし、海外の旅に出かけよう! 飛行機の中で、街角で、空港ラウンジで、“住んでよし訪れてよし・日本”へのヒントを見つけてください。もちろん海外だけではありません。海外の良さを識別するには、日本国内を知ることが同時に大切であることもお忘れなく。
大学生諸君、とりわけ「観光学」専攻の学生には、彼らの先頭に立って行って欲しいと願っています。(了)
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