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第4回 2003.9.20
『東京一極集中では、“観光立国ニッポン”にはなれない!』
(危険な「成田&羽田」集中化現象) |
訪日外国人の「テン・ミリオン計画」がスタートし、現在の500万人時代から2010年の1,000万人を目標に滑り出しています。一方、日本人の海外旅行者数は2003年にはイラク戦争やSARS(新型肺炎)で大きく減少することは必至ですが、昨年までは1,600万人レベルに達していることから、2010年には2,000万人時代を迎えることは確実でしょう。グローバルな大交流の先進国の1つとして、“いびつ”を脱却した「観光立国ニッポン」の姿が少しばかり見えてきます。
ところで、日本人および外国人の流れの現況を見た場合、観光立国への道に大きな問題が横たわっています。それは、近年、急速に進む「東京圏一極集中化」。特に、アウトバウンド観光が急激であり、グラフをご覧ください。日本人海外旅行者に関して、この一年で成田空港利用が10%も増えています。
これに反し、関西国際空港の不振が目立っています。高額な着陸料金に端を発し、路線撤退や供給量の縮小などが続く一方、「成田空港第二暫定滑走路」および「羽田空港の国際チャーター便解禁」がさらに加速させている。現在の関西国際空港は「24時間体制」のイメージとは程遠く、アジアの拠点空港のトランジット・スペースの賑わい(SARS禍直前まで)と異なり、夜間はゴーストタウン的空港となりつつある。航空便の撤退に続き、空港ビルディング内テナントの営業停止、旅客減少による営業時間短縮の店舗も少なくありません。この凋落傾向は「関西国際空港」だけの問題ではありません。関西地域の政治・経済・文化なども同様となっています。
「現在の日本は、首都東京への極度の集中がとどまるところを知りません。国へ陳情に出掛けるたびに、霞が関周辺に林立する高層ビル群に圧倒されます。汐留、品川の再開発などを見ていると、たしかに今の東京には勢いがあるように見える。大阪府知事としては、正直なところ悔しい思いをぬぐえません」
「東京への一極集中はいびつ」太田大阪府知事ホームページより
これは大阪府知事の「東京圏への偏り」に対するやや感情的で説得力を欠く発言ですが、私は「この日本を“観光立国ニッポン”にさせるのに、東京圏一極集中化は危険であり、東京に比肩しうる複数の拠点化造成が必要で、関西を再浮上&活性化させる政策をとらなければならない」と力説したいのです。決して、大阪にある大学の教授だから関西に味方するのではありません。また、関西国際空港が身近で便利だから、このような自説を展開するわけでもありません。
東京圏一極集中のもとでの「日本人海外旅行者2,000万人」と「訪日外国人1,000万人」の観光動向は、近い将来、伸び悩むパターンになることは確実だからなのです。なぜならば、一極集中化には次のような弊害やデメリットが伴うからなのです。
第1の理由として、「季節波動の激しい観光動態に対応できないこと」。日本人の海外旅行に関して、ハッピーマンデー、長期休暇取得、有給休暇の完全消化などが実施・推進される一方、オフ・シーズン格安価格ツアー政策も採られていますが、ピーク・シーズンの成田空港は相変わらずの混雑ぶり。一方、外国人も時期を選んで訪日する傾向にある。一例を挙げれば、アジアの観光客のうち、近年増加の中国人。旧正月、メーデー、国慶節などの長期休暇には中国本土(一部、香港、台湾)から集中的に飛来する。この事例だけでも中・長期的展望は絶望的な日本での受け入れ態勢。問題は単に発着の航空関係だけではなく、ホテル・旅館の宿泊産業やバス・列車などの輸送機関にも当てはまる。また、訪日外国人は日本人海外旅行者の時期と重なることが多く、アウトバウンドもしくはインバウンド観光のいずれかが阻害される構図となる。日本人の海外パッケージ・ツアーに関して、すでにゴールデンウィーク期間はもちろん、旧正月、国慶節の時期には制限せざるを得ない状況も出ている。
第2の理由として、「観光産業を継続的に活性化に導く手法は“リピーター”と“競合”の存在が不可欠であるが、これらの対策上、大きな難点がある」。前者として東京一極集中では、特にピーク時に関して、観光ルートはシンプルなパターンになりやすく、リピーター誘致には魅力の欠ける形態となる。後者は常にライバルが存在することによりニューアイデアや新商品が登場し、魅力あるデスティネーションとなる。
第3の理由として、「観光振興上の危機管理」。東京圏における地震、テロそしてコレラや猛威を振るったSARS(新型肺炎)などの発生を想定しよう。外国人観光客は、代替地として、知名度が低く航空路線が少なく不便な関西圏その他を旅行するよりも、他国へシフトすることになる。これにあてはまる海外の事例としてインドネシアのバリ島。1990年代半ばの日本人コレラ禍、そして2002年のテロ事件があるが、バリ島以外にこれといったデスティネーションを開発・振興していないため、すなわち「バリ島一極集中化」の影響で、インドネシアの観光産業全体を大きく下げ、後者のテロ事件では現在でも大きなダメージを蒙っている。
さて、一極集中化から複数の拠点化を積極的に進めた結果、観光立国として大きく飛躍している国々が身近なアジアにある。たとえば、韓国、中国、タイ。これらの国々は複数拠点化を目指し成功している。
まず、「韓国」、長らく「ソウル」一極集中化であったが“ビヨンド・ソウル”宣伝・推進が功を奏し、プサン、済州島を含めた観光誘致で日本人のみならず多くの中国人を迎え、韓国観光全体を賑わせている。特に、中国人に対する済州島ビザなしは効果を得ている。
次に、中国における「北京&上海」。歴史・文化遺産では北京や西安に劣る上海であるが産業活性化を背景に、ビジネス出張のみならず観光客誘致でも北京と競合し、これを凌ぐ勢いにあり中国の観光総量を大きく伸ばしている(SARS発生まで“シャンハイ・フィーバー”的現象をみせ、またSARS収束後も北京を尻目に、いち早く復活しつつある)。
最後に「タイ」。バンコクの都市観光に加え、アジア屈指のビーチリゾート・プーケットには、欧州からのチャーター便も多くタイ観光全体を活発にさせている。
以上の観点から、国際観光交流で突出した東京圏に比肩・競合できる拠点が必要である。となれば、「関西圏」が筆頭でしょう。関西は固有の文化、伝統、自然が豊富であり地域の魅力の再発見を行なうことにより、単にこの地域の活性化のみならず、観光立国ニッポンに向けて大きく前進する。そのため、東京圏と拮抗できる「日本のゲートウエイ・関西国際空港」を目指すべきでしょう。空港着陸料金の“一時的”な低廉策などの小手先の作戦を止めよう。また、「関西空港の国内線に占める国際線乗り継ぎ旅客のシェア」は14%と報告されている(関西国際空港「関空リポート」)が、これを改善し日本の各都市から便利な空港を目指すべきで、関西以西だけでなく、北海道、東北、関東、北陸のゲートウエイとしての役割をさらに持つべきです。したがって、「関西国際空港は国際拠点空港、伊丹空港は国内拠点空港」の机上論の政府方針は変更の必要があろう。(了)
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