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第1回 2003.6.16
『イラク戦争』そして、『SARS(新型肺炎)』…それでも、「観光産業」は世界の“リーディング産業”になれるのですか?
20世紀最後の年、2000年には全世界の外国旅行者数が6億9,700万人に上りました(世界観光機関WTO)。30年前の1970年にはわずか1億5,900万人であったものが、4倍にも膨れ上がった計算です。まさに「グローバル大交流」時代。この飛躍的な進展を続ける外国旅行者を扱う観光産業は、現在では世界全体の総生産の11.4%を占め、同時に2億人の雇用がある世界最大の産業になっています。さらに同機関は、2010年には10億人に、そして2020年には16億人になると予測。こうみると、「21世紀における国際社会の“リーディング産業”は観光産業」といわれてもおかしくありません。なかでも、アジア地域での観光の伸びは著しく、2000〜2010年にかけて年平均増加は7.7%と試算され、世界全地域で最大の伸び率を示し、ある識者によれば、巨大空港建設を軸として、“アジア・ビッグバン”と称される現象が2010年代に出現すると言われています。

ところがどうでしょうか。21世紀に突入し観光産業に甚大な影響を与える事件が続出し、将来の観光産業に危険信号がともっています。2001年のアメリカ同時多発テロ、2002年のバリ島テロ事件、2003年のイラク戦争、新型肺炎(SARS)など次々発生し、今までの活発かつグローバルな観光活動が“なり”をひそめています。特に、SARSの猛威は中国を震源地として、アジア、アメリカ大陸その他に拡大し、ツーリストやビジネスなどの動きを麻痺させています。

 このような事件が続出し、はたしてWTOが予測する輝かしい2010年や2020年がやってくるのでしょうか。テロや戦争に関しては、いまさらながら、『観光は平和へのパスポートTOURISM、PASSPORT TO PEACE(1968年の国際観光年における標語)』の言葉が強く思い出されます。観光そのものが平和に立脚したものであり、その観光促進は平和を推し進める行動であることです。特に、イラク戦争に関しては、世界的な反戦運動が展開されましたが、武力行使に訴えられて突入してしまったことは残念です。これからは早急な回復に全世界が協調することが必要です。

 一方、SARS禍が今後、どのような進展を見せるか予測できません。現在の世界経済、とりわけ観光産業には甚大な影響を与えており、一日も早い制圧宣言を全世界で発表したいものです。中間的な報告によれば、アジアを中心にして「旅行産業500万人失業」(ILO国際労働機関2003年5月)が発表されました。今後の進展ではこの数字がさらに拡大されることは避けられません。そもそもこのSARSが中国・広東省で最初に発覚したのは2002年11月。その後の伝染は3カ月ほど中国政府により隠蔽され、その結果、中国のみならず世界における感染対策を遅らせる結果となりました。もし、SARS発生のごく初期の段階で隠蔽されず開示されたならば異なった展開を見せ、これほど観光産業に甚大な影響を及ぼすことはなかったでしょう。したがって、今後はこれらの事件を教訓とし、世界各国において「観光の重要性」を認識し、各国間の協力・協調、いわゆる「連携」をしていかない限り、観光産業にとっての輝かしい2010年、2020年は到来しません。
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