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第8回 2004.3.10
一流のホテリエになるためには(1)
 これまで7回にわたり、ホテリエという仕事について紹介してきた。
 今回は、ホテリエとして活躍するために必要となる「サービス技術」と「サービス技能」について説明する。

 一流のホテリエとして、お客様に品質の高いサービスを提供し、ホテルを円滑に運営していくためには、多種多様な能力が必要となる。それらの能力を修得していく際、ホテリエとして活躍するために必要となる能力を「サービス技術」と「サービス技能」の二つに分類することが有効である。
 サービス技術とは、例えば、宿泊部門における基本的なチェックイン業務やレストラン部門における基本的なオーダーテイキング業務、あるいは、マネジャーが行う基本的な計数管理業務といった「形式言語」によって表現することができる、すなわち“マニュアル化することができるサービス”とその提供能力のことである。
 一方、サービス技能とは、例えば、不機嫌なお客様を楽しい気持ちに変えてしまうベテランのフロントクラークの接客術やリラックスした雰囲気を作り出し、メニューが分からないお客様の不安感を取り去るウェイターの心配り、あるいは、経営戦略の策定に関わるマネジャーの判断力といった「形式言語」によって表現することが難しい、すなわち“マニュアル化することが難しいサービス”とその提供能力のことである(表1参照)。

表1 ホテルにおけるサービス技術とサービス技能の分類
サービス技術 サービス技能
基本的なチェックイン業務
基本的なオーダーテイキング業務
基本的な計数管理業務
シフト表の作成業務
など
「形式言語」によって表現することができる
“マニュアル化することができるサービス”
とその提供能力
不機嫌なお客様を楽しい気持ちに変えてしまうベテランのフロントクラークの接客術
リラックスした雰囲気を作り出し、メニューが分からないお客様の不安感を取り去るウェイターの心配り
経営戦略の策定に関わるマネジャーの判断力
スタッフがやる気を持って仕事に取り組むことができるような職場環境を創り出すリーダーの指導力
など
「形式言語」によって表現することが難しい
“マニュアル化することが難しいサービス”
とその提供能力
出所: 住木俊之「ホテル業におけるサービスの伝承」『HOSPITALITY』(第8号)、
日本ホスピタリティ・マネジメント学会、2001年、70ページ を参考に作成。

 サービス技術とサービス技能は、それぞれ「知識」と「実技」の大きく二つの要素で構成されると共に、基本的には、サービス技術が基盤となって、その上にサービス技能が存在すると考えることができる。(図1参照)。

図1 サービス技術とサービス技能の構造
出所: 住木俊之「ホテル業におけるサービスの伝承」『HOSPITALITY』(第8号)、
日本ホスピタリティ・マネジメント学会、2001年、70ページ。

 形式言語によって表現することが難しいサービス技能を修得するためには、サービス技能を既に修得した者の仕事を観察したり、口伝え的に“技(わざ)”を伝授してもらったり、あるいは、自分が様々な経験を積むことや訓練を受けることなどによって、比較的多くの時間を費やして、サービス技能を修得していく必要がある。
 一方、形式言語によって表現することができるサービス技術においては、それぞれのホテルが、修得する必要のあるサービス技術を特定し、習熟レベル別にサービス技術を体系化し、業務マニュアルや研修に落とし込むなどして、ホテリエの“卵”が効率的にサービス技術を修得することが可能となるような仕組みを構築している場合も少なくない。

 また、サービス技術やサービス技能を根底で支える「ホスピタリティ精神」や「プロ意識」などは、一流の「ホテリエ」という以前に、一人の「人間」として高めていかなければならない資質であるといえよう。

次回4/10は「一流のホテリエになるためには(2)」をお送りいたします。
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