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第6回 2003.11.20
『観光データ』の発信を、活発に、そして頻繁に!
―データの中身でわかる『観光立国度』― |
「観光」の裾野は極めて広く、わが国では経済的波及効果も大きく全産業の中でもリーディング的シェアを占めています。また、地域振興への寄与も顕著で、同時に国際的理解の促進にも大きな役割を担っています。しかしながら、わが国の「観光」が、国内をはじめ海外諸国から理解されていない大きな理由として、観光関係者からの情報の発信が十分でないこと、すなわち、観光データの重要性が認識されず、“質・量”ともに情報が少なく、加えて日本語以外の言語で発信されていないことが大きく起因していると思っています。
近年、世界では観光に力を入れる国々が増えてきています。情報データ発信の重要性を意識し、各国の政府観光局がホームページ(HP)などを駆使して、自国民および海外のツーリストを呼び込もうと、それぞれが知恵を絞っています。本稿は、観光振興のための情報データに関して、発信のバロメーターの1つであるインターネット上のHPを通して考えてみたい。
まず、わが国の国家レベルでの取り組みはどうでしょうか。
観光所管の国土交通省、JNTO(国際観光振興機構)がその任を担っています。2003年は「訪日ツーリズム元年」と位置づけられ、「VJC(ビジット・ジャパン・キャンペーン)」のスタート年に当たるためか、両者からの発信は近年にないボリュームで活発な様相を呈しています。しかし、観光先進国、観光立国と称されるような海外の国々と比較すると、内容的にはまだまだ見劣りします。
例えば、 JNTO(http://www.jnto.go.jp/)の発信の内容を見てみましょう。国内外の旅行者を対象とした「一般観光情報」は日本語、英語、中国語、ハングルその他で、以前と比較すればかなりの程度に達しています。しかしながら、一国の観光を強力に推進させるためには、「消費者への情報発信」だけでは不十分なのです。同程度に、国内・海外の「観光プロフェッショナルへの情報」提供が不可欠なのです。例えば、政府・観光局のデータを得た旅行会社・航空会社・ホテルその他の観光関係者は、自社商品・実績との比較をする一方、最新のトレンドを把握し市場環境の変化に即応し戦略を練ったり修正を行なったりします。
その基礎材料となるのは、 「国家による観光政策発表」、 「観光統計データ」、 「マーケティング分析結果」の類であり、これらを一早く送受信することが観光振興に直結するのです。
はもっとも重要なことなのですが、実際には日本のトップのポリシーが、具体的に国内・海外へ発信されることは極めて少ないのです。
国土交通省やJNTO主催により各種の観光振興セミナーが、国際間・国内的にも実施されますが、HPや公式レポートで発表されるのは、実施日・テーマ・参加者などのみに留まり、重要なポリシーの具体的な内容に関しては不明のまま。また、日本語のみが多い状況にあります。観光先進国は、自国語および英語を使い、報告や議論された内容に至るまで、克明にHP上で発表しています。
および に関して、マーケティング分析を国の内外に発信することは強力な効果があることを、日本のインバウンド分野では認識されていません。このような観点から、オーストラリアやニュージーランドなどは模範国家と言えましょう。
ところで、最近、情報発信に関して、気になることがあります。「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の出発年だからでしょうか。観光を管轄する「国土交通省」、特殊法人から独立行政法人に変身(10月1日)した「JNTO」、そして、この4月からスタートした官民合体の「VJC事務局」の3つのHPが三つ巴となって、似通った情報を発信しています。これらも一本化し、役立つ情報を効率良く発信する必要性があります。
次に、地方自治体レベルでの「観光データ」はどうでしょうか。
国レベルと同様に各種のデータ発信が必要でしょう。大きな問題として、自治体間で観光に関するデータベースが異なるため、各都市間の比較が難しい点です。これには日本全体の統計データの統一が望まれます。
これ以上に問題なのは、各種データ作成への重要性が認識されていず、逼迫する自治体予算から真先に削られる費用項目が「観光データ調査費」となっている点です。地域における観光振興の出発点はまず、マーケティングであると思うがどうだろうか?それに観光立国を目指すのであれば、費用の上積みが当然だと考えるが・・・。
また、各自治体が競ってHPで流している「一般観光情報」。熱意の割には、観光ガイドブックレベルの情報の域を脱せず、“旬&使いもの”になる情報が極めて少ない。加えて、国内外の観光プロフェッショナルへの情報コラムは、国レベルよりさらに悪く、皆無に近い状況です。
以上、インバウンド・データに関して述べてきましたが、現在のアウトバウンド偏重のわが日本は、「日本人海外旅行客」のマーケティング分析については、群を抜いた発信を行っており、世界の政府観光局・航空会社・旅行会社から重宝がられ喜ばれています。これは民間組織の尽力に負うところですが、インバウンド分析に関しても、案外、民間に任せた方がいいのかもしれないと思っています(地方自治体データも含めて)。
最後に、日本はインバウンド数では世界35位ですが、観光データ発信もやはり、その程度もしくはそれ以下のランキングといえそうです。日本を下記の基準で評価すれば次のように・・・。
(熱意度):HP全体の観光立国への“熱意”がうかがわれるか。
(国家主張):国家首脳・観光(所轄)大臣の主張が明確に、頻繁に発表されているか。
(一般情報量):一般観光情報の多寡。
(専門家情報):国の内外の観光産業/学術関係者に対し、データが発信されているか。
(インバウンド伸率):近年の国際観光客(インバウンド)の増加率。
(言語数):母国語以外に、何カ国語で発信しているか。
(更改頻度):情報が頻繁に、そして迅速に更改されているか。
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さしずめ、スズキ流「観光立国度・日本版」です。(了) |
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